探偵になった気分でスッキリ解決!おすすめ殺人ミステリー映画3つ
推理ドラマは、その謎めいたスタイルもさることながら、私たち人間の心の奥底にある神経を刺激し、スッキリ感を与えてくれるものだ。人間は本能的に、謎と結論の両方に惹かれるからだろう。映画『L.A.コンフィデンシャル』のような大都会の警察であれ、映画『メメント』のような市民探偵であれ、決然とした捜査官によって緻密に解き明かされるジグソーパズルは、観ているだけでも爽快な心理ゲームだ。ヒントを丁寧に繋ぎ合わせ、重大なひとつの真実を明らかにすることほど、心を浄化できることはないだろう。以下では、シネマティック的センスと納得のいく結末を備えた、名作ミステリー映画を紹介しよう。
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『セブン』
デヴィッド・フィンチャー監督による1995年公開のフィルム・ノワール映画『セブン』は、若いスリラー好きにも気軽に勧められる、稀に見る不朽の名作だ。旧約聖書に影響を受けた連続殺人犯を追う捜査官ブラッド・ピットとモーガン・フリーマンは、緊密かつ葛藤するコンビの相性を見せ、その険悪な仲が有名な驚きのラストまで発展していくことになる。
同作は、フィルム・ノワールというジャンルの限界を恐るべき新領域へと押し上げ、その暴力的な過激さは、何年経っても(映画『ソウ』シリーズがヒットした後の現在でも)新鮮さを保ち続けている。また、壮大な設定、現代的な暗い描写、脚本からしばしば伝わる緊張感などが相まって、時代を超えて愛される作品となっているのだろう。
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『逃亡者』
1960年代のテレビドラマシリーズ『逃亡者』を元にした1993年公開の映画。今では考えられないほど大量のヒゲを生やした名優ハリソン・フォードは、妻の恐ろしい殺人事件で不当に有罪判決を受けた有名な精神科医、リチャード・キンブルを演じた。キンブルは、衝撃の逃亡劇を演じたことで、名誉挽回の機会が与えられる。
あらすじは、道徳的に正しい市民探偵が、自分と被害者のために正義を勝ち取るべく、腐敗した医療制度を暴露していくという話である。実在した某製薬会社は2020年、弱い立場の人々に致死性の薬を販売したとして、何十億ドルもの罰金を課された。この犯罪の結果、米国の平均寿命は第二次世界大戦以降で最も低下したといわれている。同作は、ほとんどのシーンがポップコーンを片手に楽しめるような娯楽映画だが、大手製薬会社とその腐敗した業界内の実態がハリウッドによって暴かれている。
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『ブレードランナー』
リドリー・スコット監督による1982年公開の映画『ブレードランナー』は、ディストピア未来の美学を大きく再定義したハリウッド大作だ。作中では、左右対称に輝く白い高層ビルはすべて消滅している。ロサンゼルスは荒涼とした野原と化し、そこではロボット奴隷の種族が暴走している。ハリソン・フォード演じる刑事リック・デッカードは、コンピュータ技術の真の歴史への偉大なオマージュであるフォークト=カンプフ検査を行うことで、人間と不正なアンドロイドを区別していく。
またデッカーは、超人的な力を持つアンドロイドを相手にするという重大な任務を負っているにもかかわらず、常時一人で行動し、近未来的だが陰鬱な小屋に一人で住み、思考を巡らせて、強い酒を飲んでいる。スコット監督は、同作の3年前に公開した映画『エイリアン』のセットデザインでもやったように、環境汚染にまみれた酸性雨が降りしきる、退廃的な未来を作り上げた。